今、世の中では「雇用シェア」「従業員シェア」という方法が広がってきています。新型コロナウイルスの影響で事業が縮小し従業員過多になっているものの、解雇をしてしまうと世の中が元に戻ったときには働き手が足りなくなってしまう…という悩みを抱えている企業が多くあります。また反対に、新型コロナウイルスの影響で、需要が大幅に増え、従業員が一時的に足りなくなっている企業もある状態です。

今回はそんな悩みを持つ企業にとって検討していただきたい「雇用シェア」「従業員シェア」について、説明いたします。

雇用シェアという新しい考え方

雇用シェアのメリット

雇用シェアを支える制度

■雇用シェアという新しい考え方

雇用シェアは一定期間、自社の社員を他の会社に働きに行かせるというもので、いわゆる「在籍出向」を利用して従業員を共用することを言います。出向元の企業と社員の雇用関係を結んだまま、出向先の企業とも社員に雇用関係を結んだ状態で働いてもらいます。そのため、出向元の企業は社員を解雇することなく雇い続けられるというのが、雇用シェアの特徴です。

さらに自社の社員を他社に出向させている間、社員への給料は自社と出向先の会社の双方で給料を支払う割合を決めることができます。実際に新型コロナウイルスの影響で、従業員が過剰となった航空業界、ホテル業界、飲食業界では、小売業などの異業種への雇用シェアを始めています。

例えば有名なのは航空会社ANAホールディングスや日本航空(JAL)です。航空会社は新型コロナウイルスの影響で大打撃を受け、CAなどを含めた従業員を実際にノジマのコールセンターや店舗で受け入れを行っていたり、成城石井、イオンなども受け入れを行っていたりしています。

業界は全く違っていても、航空会社で培われてきたお客様へのホスピタリティに信頼があり、同じくお客様へのホスピタリティが求められる業界での需要があるということです。こういった傾向は強く、小売業やサービス業では航空会社やホテル業界などからの受け入れを多く行っています。

最近話題になった雇用シェアですが、実は最近になって始まった動きではなく、1980年代から存在はしていました。その当時は工場で働いている人たちが、閑散期に別の工場へ上司や部下など数人単位で出向して働くというものです。その制度が新型コロナウイルスという例を見ない非常事態となった昨年になって見直され、新しい考え方として「雇用シェア」が普及していったものと考えられます。

➡参考「在籍出向と移籍出向(転籍)、派遣の違いを理解することで問題を回避できる

■雇用シェアのメリット

雇用シェアはこれからの社会でさらに広がっていく可能性が非常に高いものです。では実際に、雇用シェアにはどのようなメリットがあるのか出向元、出向先の企業別に見ていきましょう。

  • 出向元の場合

一時的に業績が落ち、従業員過多となった場合に、従業員の雇用を切らずに雇い続けることができます。その企業が、右肩下がりの業績で従業員の雇用が厳しくなったという場合に使う制度ではありません。あくまで新型コロナウイルス感染拡大のように突発的なことが起こり、一時的に業績が落ちてしまった企業が、再度業績が回復したときに従業員を再び呼び戻せるという制度です。また、繁忙期と閑散期のある企業にとってもとても有用なシステムです。さらに、従業員に他業種の企業で働いてもらうことで、新たな知識を身につけたうえで戻ってくることも考えられます。出向に出すことで、出向先の企業や業界のノウハウも手に入れられるというのも大きな特徴でしょう。

また、従業員にとっても、解雇とならずに働き続けることができるので、企業に対する信用度も上がるというメリットがあります。

➡参考「在籍出向に必要な手続きとは?徹底解説

  • 出向先の場合

一時的に業績が上がり、人手不足な状況に陥っている場合に、雇用シェアのシステムはとても有用です。業績がこの先も上がり続けるだろうという見通しがあっても、新規で人を雇い入れるには時間もコストもかかります。ですが、雇用シェアを使えば、信用のある会社で手放したくないと思われている優秀な社員を借りることができるため、即戦力として働いてもらえるというメリットがあります。

また、新規採用の場合は、賃金から社会保険等まで1人の社員に対して膨大な出費がありますが、雇用シェアの場合は出向元の企業と給料等を出し合う形になるので、普通に雇い入れるよりも安く、有能な人材を使うことができるというのが魅力的なところです。

さらに出向元の企業のノウハウを持っている従業員に働いてもらうことで、そのノウハウも自社に取り入れることが可能というところにもポイントがあるといえるでしょう。

➡参考「出向を“受け入れる”企業が知っておきたいこと

■雇用シェアを支える制度

雇用シェア、従業員シェアのメリットをお伝えしましたが、さらに助成金を受けられる制度も現在はあります。「雇用調整助成金」や「産業雇用安定助成金」を使えば、従業員にかかるコストを国が助成してくれるため、出向元の企業も出向先の企業も雇用の問題、賃金の問題を考えずに従業員に働いてもらえるというものです。

資金的に問題を抱えていたり、出向先の受け入れ企業が人手不足でも賃金を高くは払えないという場合には、この助成金制度を考えてみるといいでしょう。

➡参考「出向で使える「産業雇用安定助成金」とは?「雇用調整助成金」と何が違う?

➡参考「在籍出向に関する契約書や同意書の書き方は?ひな形無料ダウンロード

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※産業雇用安定助成金のご利用を検討されるにあたり、
弊社からも出来る限りの情報提供を行わせて頂きますが、
当助成金の詳細や受給対象可否に関しては、
産業雇用安定助成金ガイドブック https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000735076.pdf
等をご参照の上、必ず所轄の都道府県労働局またはハローワークへ
ご確認頂き、ご検討・ご判断くださいますようお願い致します。
助成金支給可否に関して、弊社では一切の責任を負いかねますので
ご了承ください。
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