人手が足りないけれど、即戦力が欲しい。採用を行うコストや時間がない。会社の業績自体は悪くはなく、人手不足に陥っている企業であれば、採用の他に考えるのが出向の受け入れです。特に今は、忙しい業界と、そうではない業界の差が大きくなってきているため、新規の採用ではなく出向の受け入れを検討する会社も増えています。ここでは、出向を受け入れるとどういうことがあるのかがわからないという疑問にお答えいたします。

給与は出向元と出向先のどちらが負担する?

社会保険(雇用保険・年金)はどのような取扱いになる?

出向元と自社の労働条件と異なる場合はどうする?

出向受け入れ企業が受けられる助成金制度はある?

➡参考「「雇用シェア」「従業員シェア」ってなに?

■給与は出向元と出向先のどちらが負担する?

まず一番気になるのが、従業員の給料です。通常であれば、自社のために働いてくれている従業員の給料は全て自社で支払っていますが、出向の場合はどうなるのでしょうか。

というのも、在籍出向の場合は、就労期間中の従業員は出向先の企業で働いていますが、従業員の労働契約は出向元、出向先の両方と結ばれた状態です。出向先の企業で働いているからと言って、出向元の企業の従業員でもある人に対して、出向先の企業が100パーセント給料を負担するのは、何かおかしいと感じませんか?

出向期間中に出向先の企業の仕事しか従業員がしていなかったとしても、何か引っかかるところがあると思います。もちろん、出向先の企業によっては、労働契約を出向元、出向先のどちらの企業とも結んでいたとしても、出向期間中は出向先の企業でしか働いていないなら、出向先が100パーセント支払うのが当然だという考え方もあります。

では実際に出向元と出向先とで、出向している従業員に支払う給料は誰が出すのかというと、実は法律的には決まっていません。

そのため、給料の支払いは出向元と出向先との企業で、どちらが何割を出すのかを相談して決めることとなります。ただ、出向元が100パーセントの給料を支払うということは、ほぼありません。

9:1~1:9のいずれかだとしても、出向先の企業としては、通常の従業員よりも安い賃金で雇い入れることができるので、在籍出向を受け入れるメリットがあると言えるでしょう。

➡参考「出向でも在籍出向だと給料負担は出向元になることもある?

■社会保険(雇用保険・年金)はどのような取扱いになる?

在籍出向の場合、社会保険についてですが、出向先と出向元のどちらが従業員に対して行うのかというと、これも実は法律的には決まっていません。出向先と出向元の企業で話し合いをして、どちらが雇用保険や年金などの社会保険を負担するのかを決めます。また、出向先の企業が雇用保険を支払い、出向元の企業が年金を支払うというように分担することもできるので、出向元の企業とどうするかを相談してください。

ただ、社会保険は支払う企業が変わると、手続きが煩雑になる可能性が高いので、出向期間が短い従業員については、社会保険等は出向元の企業にお願いして、その代わり従業員の給料をすべて出向先の企業が受け持つパターンも可能です。負担する金額だけではなく、手続きという視点から見てどうするのが一番煩雑にならないのかを考えながら、出向元の企業と話し合うと、スムーズかもしれません。

➡参考「在籍出向に必要な手続きとは?徹底解説

■出向元と自社の労働条件と異なる場合はどうする?

在籍出向の場合、労働条件についても出向元と出向先とで、どちらの企業に合わせるのかということは、法律的には決まっていません。

例えば、出向元は平日休みで、出向先の企業が土日休みという場合、出向先では土日は企業として出社している人がいないのであれば、従業員は出向先の企業の休みに準じないと出社日数が減ってしまうという問題があります。労働条件を出向元のままにしておくことで、出向先の企業で問題が起きたり、出向する従業員が不利になる場合には、出向先の企業の労働条件に合わせたほうがいいでしょう。

ただ、出向元と出向先の企業で労働条件が違っていて、どちらの労働条件にあてはめても出向する従業員が不利にならないのであれば、出向元の企業の労働条件のまま進める方が、出向をする従業員にとってはストレスが少ないので、出向元の企業の労働条件のまま進めるケースもあります。ですが、そういったケースがあるだけで、必ずしなければいけないということはないので、給料や社会保険同様に出向元、出向先の企業とで話し合いましょう。

■出向受け入れ企業が受けられる助成金制度はある?

これまで出向を受け入れる企業に対しての助成金制度はありませんでした。ですが、コロナ禍において新しくできた助成金制度では、出向を受け入れる企業にも助成金が出るようになったのをご存じでしょうか?

その助成金とは「産業雇用安定助成金」です。この制度を使うことで、出向元、出向先ともに国からの助成金を得ることができます。ただし、出向の条件や準備をしなければいけない書類などもありますので、産業雇用安定助成金を使う場合は制度を正しく理解しておく必要があります。

また、大企業と中小企業とでは助成される割合も異なっていますので、自社がどちらに入るのかを確認してから検討してみてください。

➡参考「出向を“受け入れる”企業が知っておきたいこと

➡参考「出向で使える「産業雇用安定助成金」とは?「雇用調整助成金」と何が違う?

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※産業雇用安定助成金のご利用を検討されるにあたり、
弊社からも出来る限りの情報提供を行わせて頂きますが、
当助成金の詳細や受給対象可否に関しては、
産業雇用安定助成金ガイドブック https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000735076.pdf
等をご参照の上、必ず所轄の都道府県労働局またはハローワークへ
ご確認頂き、ご検討・ご判断くださいますようお願い致します。
助成金支給可否に関して、弊社では一切の責任を負いかねますので
ご了承ください。
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