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在籍出向に関する契約書や同意書の書き方は?ひな形無料ダウンロード

従業員に在籍出向をさせることを決めたら、人事担当者は様々な手続きを行う必要があります。今回は従業員との取り決めである出向同意書、出向先の企業と契約を結ぶ出向契約書、出向の手続きが完了した後で行う助成金の書類の書き方をメインにお伝えいたします。

目次

出向元と出向先の取り決めで押さえておきたいポイント
出向同意書の書き方は?
助成金取得に必要な書類は?

■出向元と出向先の取り決めで押さえておきたいポイント

在籍出向をする場合、一番初めに決めなければいけないのが労働条件です。在籍出向の場合、出向させる従業員は出向元と出向先の両方と労働契約を結んでいる状態のため、どちらの会社の労働条件も適用可能です。つまり、出向元企業の労働条件のまま出向することも可能ですし、出向先の労働条件で出向することも可能ということです。出向元、出向先ともに、何割がどちらの企業の労働条件に合わせるという取り決めも法律上の規定はありません。

押さえておきたいポイントをいくつか挙げると、

などです。

これらのことは、次の項目の「出向同意書」にも記す内容です。

➡参考記事「在籍出向とは|転籍出向や派遣と比較しながらわかりやすく解説

➡参考記事「今注目の出向とは?出向の意味と推進される理由を解説

■出向同意書の書き方は?

それでは実際に、出向同意書の書き方について説明をしていきます。

出向同意書は、従業員に在籍出向をする際の労働条件等をすべて開示したうえで、同意書にサインをしてもらうのが一連の流れです。

つまり、出向同意書を書く際には、労働条件通知書も一緒に作る必要があります。出向同意書と労働条件通知書をまとめて一つのものにしてもいいですし、別々のものにしても問題はありません。

出向同意書にはまず、出向期間、出向先の企業名、勤務場所を明記します。その後に、出向先の労働条件を記し、最後に出向元の事業所の名前と出向先の事業所の名前を書いたうえで、一番下に従業員に名前と印鑑を押してもらう場所を設ければ完了です。

この出向同意書の中で気を付けなければいけないポイントは、出向元と出向先で賃金等に関わる規定が異なる点についての記載です。「時間外割増賃金」についてを例に挙げると、労働基準法で定められている1.25倍の場合は特に問題はないのですが、出向元もしくは出向先の時間外割増賃金が1.25倍ではない場合は、その割合についても記述しておく必要があります。

他にも出向することで扱いが変わるものがある場合は、それも記述しておきましょう。

■出向契約書の書き方は?

続いて出向契約書の書き方について説明をしていきます。

出向契約書は、在籍出向をさせる従業員ごとに作る必要があります。ここには、出向元の企業と出向先の企業とで事前に話し合って決めた内容を載せておきましょう。

出向契約書を作る際に特に気を付けておきたいポイントを、いくつかあげます。


まずは出向期間の変更についてです。在籍出向が始まってから、出向期間が変更になることは往々にしてあります。その場合、「最低何か月前に伝えるのか」ということも出向契約書の中に書き込んでおくと、後々もめごとになる危険性を減らすことができます。

次に出向社員の労働時間や休日数についてです。出向元の企業と、出向先の企業とでは、もともと労働時間や休日数が違う場合があります。その際、出向社員にはどちらの企業の条件で働いてもらうのかを決める必要があります。ただ、出向をさせる場合、従業員にとって不利益になる場合は調整が入る可能性が高くなります。そのため、可能な限り出向元の企業での労働時間や休日数に合わせたほうが無難です。

時間外労働の項目についても十分な話し合いが必要です。「時間外労働がどこからなのか」というのが、出向元の企業と出向先の企業とで同じ認識なのかのすり合わせをしましょう。通常時間外労働は「1日8時間、1週間40時間を超えた時間を指す」ですが、通常勤務時間が1日7.5時間の場合もあれば、それよりも多い場合も可能性としてはあります。

また、休日労働の上限日数も、出向契約書の中で決めておく必要があります。「休日」扱いになる曜日や日数についても、先に決めたうえでの協議が必要です。

さらに、出向を行う際、出向社員の毎月の勤務実績報告を出向先企業が出向元企業に対して行う必要がありますが、この際にいつまでに送るのか、送る方法はどういう形式なのか(データであれば、エクセル・PDFなど)の指定と、出向元の誰に送るのかというところまで決めておくと、後々便利です。

最後に、給料・賞与・交通費についても、出向元・出向先の企業それぞれが、どれだけ支払うのかを決めておく必要があります。ただ基本的に、交通費については出向先の企業が支払うのが一般的です。ただその際、交通費支給の上限がある場合はそれを明記したうえで、両社で協議の上方針を決定する必要があります。

以上のことに気を付けながら出向契約書を作成すれば、基本的には問題は回避できるでしょう。

■助成金取得に必要な書類は?

助成金取得に必要な書類の種類は以下のものです。

計画届は、実際に出向を行う前に提出する必要があります。また、出向元、出向先の企業がそれぞれ提出することはできず、両企業で話し合った内容を代表の企業が提出するという流れになっています。

計画届とともに提出するのに必要な書類は、

〇確認書類(1)(労働組合等との協定書)

〇確認書類(2)(事業所の状況に関する書類)

〇確認書類(3)(出向契約に関する書類)

があります。

また計画届を出したものの、「出向実施計画(変更)届(出向元事業主)」または「出向実施計画(変更)届(出向先事業主)」の内容に変更が出た場合は、「出向実施計画(変更)届(出向元事業主)」または「出向実施計画(変更)届(出向先事業主)」を変更届として用い、「計画届(変更届)に必要な書類」の書類を添付して提出する必要があります。

その他に変更届を出す場合に必要な書類は、

です。

については、変更があった側のみ提出します。

次に支給申請は、実際に出向が始まってから行うものですが、申請を行う際に必要な書類があります。

上記のうち※のついている「支給要件確認申立書(産業雇用安定助成金)」は、出向元の企業、出向先の企業それぞれが作成する必要があります。

また該当する場合にだけ提出する書類が下記です。

またこれの書類の受け取りや申請窓口は原則として都道府県の労働局ですが、ハローワークにて書類の受付を行っている場合もありますので、一度相談をしに行ってみてもいいでしょう。

➡参考記事「【図解付き】雇用調整助成金と産業雇用安定助成金の違いをわかりやすく解説